海外ドラマ

[継続]BULL S1:陪審員を操り評決を勝利に導く法廷科学。論理的には可能だけど現実としてコレはあり得るのか。果たして彼は全てを見通せるのか。

海外ドラマ好きのNOJOMINが絶賛視聴中のドラマについて、ご紹介します。

この記事を読んでくださった方にもぜひ興味を持っていただき、あわよくば観てほしい!という思いを込めて記事を書いています。

なるべくネタバレしないように気をつけて紹介していますが、「観るまでストーリーは一切知りたくない」方はご覧になりませんようお願いします。

作品概要

ドクター、ジェイソン・ブルは裁判科学の専門家で、審理コンサルタント会社『トライアル・アナリシス・コーポレーション (TAC)』を設立。ブルは自身のスキルとそこで働く従業員のスキルを使い、クライアントを勝たせるべく、陪審員たち全員のデータを分析して戦略を立て、証人や被告にアドバイスもし、裁判を有利に導く。

出展:Wikipedia:BULL /ブル 法廷を操る男

大好きなリーガルモノ+科学モノなんだけど

法廷科学なんて言われちゃったら、リーガルもの、そしてクリミナルサスペンスもの大好きな私としては絶対に見逃せない今作品。

主役の俳優が苦手という初の事態に遭遇

だがしかし、主演のマイケル・ウェザリーが正直苦手。

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生理的に…っていうやつでしょうし、そういうことで苦手意識を持つのは良くないことだと思いつつも、苦手なものは苦手なので本当に申し訳ない。

彼が主演じゃなければ諸手を挙げて飛びついちゃうところなんだけど。

設定の面白さに最大限期待を寄せつつ、食わず嫌いは良くない、ということで観てみたらそれなりに面白く、なんとかS1を無事に観終えました。

あらすじ

主人公のジェイソン・ブルは心理学の博士号を持つ裁判科学の第一人者にして、“Trial Analysis Corporation(略称:TAC)”の設立者。クライアントは、原告・被告・代理人・検事と様々なれど、裁判において勝利をおさめることが必要な人々。

TACは彼らのスキルを駆使し、陪審員たちを、クライアントに有利な判決に導きます。

ちなみに、その勝率は8割を超えているとストーリー中に言及されていたような。

あれ、どこかで観たことあるような

なにより、陪審員はもちろんクライアントのちょっとした表情や仕草から、隠された本心を読み取るところは、もうLie to meそのものじゃないですか。

近代的なオフィスに風変わりな主人公。その主人公をサポートするのがが知的な大人のブロンドボブの女性で、バツイチで、タイトなスタイルの洋服でバッチリ決めてるところも、会社の財務を含む実務をほぼ取り仕切ってるあたりも、あまりに似過ぎていてびっくりするくらい。

Lie to meは微表情(MicroExpression)といわれる一瞬の表情や仕草から相手の嘘や心の内を読み取ることを仕事としている博士とコンサル会社が主人公。真実を見分けることが主眼のため、裁判に絡むことも多いですが、それ以外のお仕事をすることも多くありましたが、今回は法廷メインなところが相違点かな。

このドラマで感じ続けた違和感

TACの業務内容って

TACの業務内容およびその受託の流れを簡単に紹介すると

  1. 依頼者の依頼内容を吟味し、受けるかどうか決定する
  2. 依頼者の裁判におけ陪審員名簿を入手し、徹底的に分析する
  3. 依頼者に好意的もしくは敵対的な判断をする人物およびの要素を分析・抽出する
  4. 予備尋問(陪審員の選出)において、すでに抽出した“好意的判断をする要素”を持つ陪審員を選び、“敵対的な判断をする要素”を持つ陪審員を忌避する。
  5. 事前の徹底的な分析により、選出された陪審員のそれぞれと非常に似通った人物を選出してTAC専用疑似陪審員団を結成し、生体反応モニターを身に着けさせた上で当該裁判を膨張させる
  6.  疑似陪審員の生体反応および陪審員表情などから評決の行方を読み取り、裁判を有利に進めるために必要な戦略をクライアントに授ける

と言ったところでしょうか。

リアリティを感じた部分

事前に調査によって陪審員候補者の思考や行動の傾向が丸裸になるところとか、陪審員のボディ・ランゲージやマイクロエクスプレッションにより評決の行方を読み取るというのは、あり得る話でしょう。

実際に、陪審員選びのコンサルタントという職業は、これまでみたリーガルもののドラマでも出てきました。

重要な証人や被告とされる人物について、法廷に立つ前に証言のトレーニングをしたり、洋服や髪型を陪審員に好印象にになるよう変えることなども、よくある話。

このような法廷戦略の一部のポイントを一括して請け負うという意味では、TACやブルという存在は有り得る話。

陪審員裁判の本場であるアメリカの法廷の、リアルを感じさせてくれる内容だと思います。

胡散臭いと感じた部分

が、陪審員候補者の名簿を事前に入手できちゃうところがまず大いなる疑問。これって裁判における重要な機密情報の漏洩じゃない?

その上、本物の陪審員とよく似た人物による疑似陪審員団が結成できちゃうなんて、どこからその情報を取得しているんでしょう。

有志の大掛かりな疑似陪審員団のプールを持っているってことになるけど、そんなことあり得るのかしら。

そしてそれ以上に、疑似陪審員団が本当に陪審員たちと同じ思考をたどるのかなどは、正直疑わしいところ。

リアルに即した内容であるドラマであるからこそ、TACだからこそできることとして挙げている内容について、ちょっと都合良すぎだな、って感じてしまいました。

最大の違和感は、常にブルが正しいほうを知っているってこと

そして何より気に食わないのが、毎回ブルが選ぶほうが“正しい”ほうだということ。

クライアントから依頼を受けて話をするうちに、クライアントではなくその相手側につくことを決めたり、容疑者をテレビを通して観ただけで無実だと確信して依頼を受けに行っちゃったりするんだけど、そんな簡単に真実は見通せるものなのでしょうか。

裁判科学でクライアントに有利な結論を導くことに寄与できても、真実をみつけることができる、というのは違うと思う。なので、毎回自信たっぷりに無罪の側につく、もしくは厳しい状況の中で真実にたどり着いちゃうってういのは、裁判科学の範疇外でしょう。

ストーリー中に“神コンプレックス”な男性医師が登場しましたが、私からするとまさにそれはブル。いつも自信満々に正しい方を選び、そちらに有利な方に判決を導くなんておかしいと思う。

無実なのに負けることがあるのと同じくらい、有罪なのに勝利を収めてしまう可能性もあるはずなのに、そんなことはありえないことにように、毎回自信満々で勝利を収めるブルは正直鼻につきました。

まぁ主演俳優が好きじゃないせいだと思うんですけど!

次シーズンへの個人的な要望

そう言う意味で、もっとリアルで深みのあるドラマになるためにも、何が真実なのかわからないのにクライアントに有利な立場を取らざるを得ない、というポジショニングでのストーリーを要望します。

かなり面白い法廷科学ドラマです

と、かなり厳し目のコメントを述べてしまいましたが、全体的にはなかなか面白いドラマだと思います。

すでに類似のドラマとしてLie to meを挙げましたが、それがどちらかというと玄人好みなキャラクターとストーリー展開だったのに対し、こちらはいい意味で大衆受け路線バッチリ。

専門用語が多くなりがちな法廷ドラマをわかりやすくビジュアル化

大量なデータ分析もかなりおしゃれかつ分かりやすいビジュアルで表現されているし、クライアントが法廷に立つ際の洋服を含むイメージコンサルタントの存在や、背景調査をする女性元FBI捜査官が出てきたり、社内弁護士がいるのに場合によっては社外弁護士が代理人になるなど、なかなか興味深いキャスト陣がいい。

私が正統派リーガルドラマに求める4要素をシーズン1でコンプリート

そして、リーガルドラマが大好きな私としては、刑事訴訟・民事訴訟・集団訴訟そして軍法会議の4種類の裁判が語られないと正統派リーガルドラマとは言わないと決めているのですが、今作は一応この4つをシーズン1で網羅しているところが素晴らしい。

軍法会議(軍内部での裁判)は一般の法廷とは全く違うルールで運営されるのですが、その独自性と困難さがキチンと描かれるドラマには好感が持てます。

今シーズンは、とくに大きな謎を残すこともなく、クリフハンガーもなく終了。次シーズンはどんな展開になるのか。ブルの神っぷりはどうなるのか。

ブルにむかつきつつも、気になって仕方がない、ってことはハマってるってことですよね。

このドラマに似ている!ここがおすすめ!

このドラマのココがオススメ!

  • 専門用語の羅列で堅苦しく退屈に感じがちな法廷ドラマが、分かりやすいビジュルあるとキャッチーなテーマ、そしてブルという主役の存在で、エンターテインメント性の高い極上のドラマに進化!法廷ドラマはちょっと…と思う人にこそ、観ていただきたい。

このドラマとちょっと似ているおすすめドラマ

  • Lie to me:文中にも書いたとおり、かなりこのドラマと似ています。こちらは、MicroExpression(微表情)をもとに、相手の嘘や心の内を見破ることを専門にしたコンサル会社のお話。人間の外側に現れる様々な変化が、内側を表しているという考えに基づくあたりが共通項。そして、登場人物もよく似ています。もう少し専門性が高く玄人好みの展開、かつ、法廷以外の様々な事案にも関連するあたりが相違点。
  •  The Good Wife:私の中での正統派リーガルドラマといえばこちら。本作で法廷モノの魅力を発見された方には是非観ていただきたい。法律事務所に務める女性弁護士が主役のドラマなので、BULLとは違った角度からの法廷が観れますよ。
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